西井の詔 2012


其の六拾弐 11/2     

  

そう言えば今年は、ビートルズ、ローリングストーンズがそれぞれデビュー、結成50周年なんだそうである。
手元に資料がみあたらないのだが確か1965年?あたり?のような気がしている。
俺も60年代生まれであるから、もちろんこの2バンドについては詳しい。
ビートルズは4人組の超有名バンドだったがいろいろあって解散し、メンバーの2人が他界をし、さらに表だった活動を続けているのはたった1人になってしまった。しかし、彼は今も日テレの「笑点」という番組で元気にザブトンを運んでいる。
ローリングストーンズは5人組の超有名バンドだが1人死んだ以外は全員生きている。そうとういろいろあったが解散もせず、今も活動を続けている。
何ンと今年、新曲を発表し営業をまわるそうだ。あまり元気なので今度、二子玉高島屋S.C.の広場でどくまむしさんだゆうがインタビューを敢行する。
「よお、ジジィ。早く死ねよォ」
ビートルズとストーンズの事を書いている内に「笑点」よりの話になってしまった。
ピート・タウンゼント宅へ、ヨネスケがしゃもじを持って訪問するという話。俺、それはまだ耳にしていない。

其の六拾壱 10/18     

  

街は危険であふれている。

俺は仕事につかれてクタクタだった。
タバコ屋の前の喫煙所でチェーンスモークをしていた。男が一人、目に入った。手足が長くタッパがある。筋肉質なのだろうと思わせる身体を黒のジャージの上下で隠している。俺が2本のタバコをボロボロの灰にするまでその男は俺の視線から出たり入ったりしていた。サァ、もう帰ろう。何か食いモンと飲みモンを買ってかなきゃ。チャリンコに乗ってペダルをふみ込み走らせた。 「ねェねェ、ちょっと待って、そこのアナタちょっと待ってくれないかァ」
俺の後ろで走る足音と、男の声がした。過去からの声か?かるくイヤな気がしたが、俺のコトとはかぎるまい。チャリを走らせていると声はどんどん近づいてくる。とうとう、それは俺のすぐ横にやって来て走りながら「待って、待って」まぎれもなく俺を呼び止めているのだった。さっき見かけたタッパのある黒ジャージの男だった。 あれぇ?なんだろう。デジャヴ?前回もこんな事を書いた気がする。今度は何だ、やはりケンカか、それとも又、ゲイなのか。うんざりしながらもイライラと血の気は上る。チャリを止め、「何ンだコラ、何用なんだ」と言うと、意外にも男は「スイマセン」と頭を下げた。 男はジャージのポケットからヒモでぐるぐる巻きにしたサイフを取り出した。何してんだコイツと思っていたらサイフの中身を俺に見せた。大きな金色のバッヂがはりついていた。 「警察です。協力をお願いします。」
あー、もー。何が何ンだか。

ジャージ刑事は俺の顔をのぞき込んでこう言った。
「あーっ。チョットちがうかもなァ」
こんな言われようがあるだろうか。たとえ桜田門の金バッヂを持っている立場の人間であろうが、いきなり人を呼び止め、人の顔をまじまじとにらみ、「チョットちがう。」そりゃないだろう、あんまりだろう。聞けば探している参考人の身たけ髪型がよく似ているそうだ。「うーんでもなァ。何ンとなく似ているんだけど、ダンナの方がちょっとイイ男だよなァ」どうすべきか考えながら、とりあえず俺の機嫌をとっておこうと思っているのだ。ケータイでどこかへ連絡をとるとすぐに今度はスーツ姿の男が走ってやって来た。スーツ刑事だった。 やはり俺の顔をのぞき込み、「うーん、似てるけどちがうな」「やはり、ちがいますか」「うん。ダンナ、ごめん、ごめん。探しているヤツがいてね。そいつとダンナがよく似てたんだ。でもね。こうして見るとダンナの方がぜんぜんイイ男だ。ごめんねェ」 スーツ刑事はジャージ刑事とまったく同じようなセリフでとりあえず俺を持ち上げ、そして2人でどこかへ去って行った。
まるで前回のパロディである。だいたい前回に書いた事が日常のパロディのようだ、こんな事もあったりするんだよね、と書いたはずだったのだが、今回パロディのパロディである。 マンホールへ落ちてしまった男は、古い漫画のような日常を演じ続けなければならないのだろうか。

其の六拾 9/25     

  

まだまだ暑いが先日は東京中、秋祭りだったようで、我が阿佐谷でもアチコチで神輿が出ていた。この俺が言うのも何ンだが、まァ午前中からである。夕方にはケッコウな酔っぱらいが、ケッコウなくらいにはでていた。俺は、駅前のスーパーでエサを買うベェと自転車を空いているスペースに入れた。店の入口の方を振り返るとチョッと間をおいて、男が1人立っていて、明らかに俺の事を見ている。タッパはちょうど俺くらい、黒いブーツにジーンズ。黒いTシャツに両腕のTATOO。髪はソバージュで耳にびっしりのピアス。年の頃は30前後か。 やばい、と思った。何故か、俺は街中で理由もなくケンカを売られる。とくにこのタイプには。 いわく「お前、今俺に舌打ちしたろ」「アンタ、いったいどんな人?」「兄さん、俺とここでストリート・ファイトやんね」その他各種。 男とは完全に目が合った。ゆっくり、こちらへ歩を進めている。あーあ、こりゃケンカだ。しょうがねェなァ。 ヘラヘラ笑った男の顔が、もう頭突きのカマせる位置にあって、俺もさすがにカチンとなる。 「何ンだよ、何ンの用だ」 男の左手が俺の左手を狙ってスッと伸びた。あわてて引っ込めたが取られてしまった。ヤラレタ。 アレッ!?その手は俺の手をつかみ取るとか、にぎりつぶすとか、そういう感じではなく、下からそっと支えるという風であった。一瞬とまどうと男は取った俺の手をなで始めたのである。とまどい続ける俺。男はこう言った。「お兄さん、すごくカッコいい、可愛いい」血のケがスーッと引いて行くのが分かる。俺の血圧は上がったり下がったり忙しいが俺の顔の方はたぶん、こわばり固まっていたと思う。男はアロハを着ていた俺の腕もなで始めている。ハタから見るとオッサン2人が何やってるんだ状態である。「今日はお祭りだとさ、俺とちょっと呑まない?一杯つき合わない?」 何ンとケンカが始まると覚悟していたら、フケ専ゲイ野郎のナンパが始まっていたのだった。入れ墨の腕が俺の腕をなで回している。カッコいいと言ってもらったお礼にTATOOの事をほめとこうか、なかなか立派なモンである。あ、イヤイヤイヤ。自分からドツボにハマッてどうする。一度はマンホールにハマッたこの身である。適当な事を言って逃げ難をえた。ビッショリ汗をかいてしまっている。乙女の恥じらいであろうか。 街中は危険でいっぱいである。見知らぬ男にケンカを売られた。見知らぬ女にビンタを喰らった。ホモのオヤジに愛を告白された。オバサンの自転車にひかれた。自分より背の高い外国人達に囲まれ、英語でマシンガンのように話しかけられた。フタの開いたマンホールに落ちた。 またもや、こんな目に合ってしまうとは普段はあまり考えつかない事だ。 気がつけば確実に風は秋だ。

其の五拾九 8/21     

  

セミの声が聞こえるようになるともう、夏も曲がり角だ。…が、暑い。まだまだだんぜん暑い。日中表にいると肌と目の奥が日差しで焼け焦げてしまいそうだ。青い空とぶりぶりとした白い雲を見るのが好きなのでアッチコチを自転車で走り回るのだが、せっかく用意したサングラスも夏の底ヌケの明るさを感じたいため、掛けたり掛けなかったり、その内まったく掛けないでいたりするとホントに目の奥がいたくなって来る。何ンだか目も日焼けをするそうだ。眼球が日で焼けるって想像するとチョット恐ろしい。あわててサングラスを掛ける。金とヒマがあればこのまま海まで行って一泊くらいしたいと思う。金もヒマもないけど今度は海まで行ってみるか。 古いロック・ステディを聴きたい。スカの時代とレゲエに挟まれたジャマイカのゆうるゆるの感じのジャンルだけど、打ち込みやらスタジオワークばかりがエラそうな最近のヤツにうんざりしている俺にはとてもウレシイ。 あーっっ!!そういえば古本屋で赤塚不二夫の「レッツラ・ゴン」を見つけたのである。 1冊にまとめたダイジェスト版なのが残念だけど。(本来は確か曙出版から全3巻出ていたハズ)昔のギャグマンガというのはあんなに笑ったのに今となってはノスタルジーは感じてもゲラゲラ笑えるというのはあんまりない。時代と密着していたのだ。「おそ松くん」を読んで笑える人は今あまりいないのではないか。「レッツラ・ゴン」には"ゴン"と言う名の少年が出て来るが、彼は主人公ではない。そして彼の父親なのであろう"オヤジ"と、ゴンがひろってきた熊の"クマ"。この3人?しかレギュラーはいない。後はいろんなちみもうりょうがワンサカと出てくる。目玉のつながったオマワリ、露出狂の教師、ネコ、ムシ、自らの商売道具のオデンなべで茹でられ自殺するオデン屋。ちゃわんむし、etc…。 彼ら?がなぐり合い、殺し合い、オシッコをし、脱プンし、気狂いじみた下ネタを飛ばし合うのである。故、赤塚不二夫の言うようにギャグのシュールレアリズム。 俺はガキの頃にこんな作品に出会えて幸福(不幸)だったなァ。 今、読んでみたいのは、「レッツラ・ゴン」がギャグマンガをシュールの滝つぼに投げ入れたとすると、ギャグマンガを極北のニヒリズムにまでおいやった永井豪の「けっこう仮面」である。

其の五拾八 7/24     

  

近くの小学校で盆踊りをやっている。少々音がでか過ぎるんじゃねえかと思いつつも聞こえてくる”東京音頭“は俺の背中に突き刺さる。

プロ野球オールスターゲームは何ンとなく地味な所に追いやられ、世の中はロンドンオリンピック一色である。まァそれもいたしかたあるまい。4年に一度のお祭りという事もあるのだから。それにしてもオリンピック直後には、その商業主義や大国のエゴをさんざん批判する人が出てくるのに、オリンピック直前には何故、誰も何も言わないのだろうか。「こんな大会なんてクソだ!」と思いながらも観ているんではないだろうか。「バーロー!ざけんじゃねェよ」と歯ぎしりをしながら、夜中も「明日、会議があんだよな」と頭のかたすみに残しながら夜明けまでも観てしまっているのかもしれない。 何ンたって世界中の超一流アスリートがここを目指して集まっているのだから。
♪ロンドン五輪〜…♪
えー、“ザ・クラッシュ”の「ロンドン・コーリング」のメロディでお送りしました。
何ンたって超一流アスリートである。例えばオリンピックの花のひとつ、短距離100m走。 あれをみんな9秒台で駆け抜けるのである。
そこにもし、俺がいたとしよう。
俺はアスリート達とともにスタート地点にいる。ゴールを見てみる。もンのすごく遠くにある。アスリート達をチラ見すると、我が身との差は立体とえんぴつで書いた線である。 スターターに足をかけようとする。足がつるだろう。ともかくスタートのポーズをつくる。両うでに体重がのる。指がクキッとなって転ぶだろう。緊張が走り、スタートをつげるピストル音を待つ。この間にも足はつっているハズである。 そしてついにその音がパンと鳴る。
俺は一瞬何があったか理解できず、身体を反応させるのにたっぷり1秒はかかるだろう。で、ともかくスタートして全力で走る。あなたはここ何年かで全力で走ったことがあるだろうか。たぶん俺は足をもつらせて転ぶだろう。 ともかく立ち上がるが、まだ残りは90m以上あるだろう。あなたは全力でなくてもここ何年かで100mを走ったことがあるだろうか。 多分俺はどこかで何故かもう一度、転ぶだろう。とっくに誰もいなくなったレーンをひた走る。 そしてゴールのテープ。アスリート達はそのきたえあげられた胸の筋肉をぶつけるようにそれを切りさって行った。多分俺はテープが何故か首に巻き付いて死にそうになっているンではないか。 かように、トップアスリートとはすごい人達なのだ。俺との差は歴然である
100mを走る。このシンプルさでこのありさまなのであるから、後は押して知るべし。体操、レスリング、重量上げ、水泳、マラソン、等。いったい俺はどこまでみじめな思いをすればいいのか。やはりオリンピックはビール片手に観ているのが1番だ。 何故か俺は男子平行棒を観ている時アツくなる。もし、俺があの場所にいて平行棒に乗ろうとすると…。

其の五拾七 7/17     

  

「経験したことのない大雨」 と気象庁は今回の九州の豪雨をそう表現していたが、 近頃(俺のそれは幅があるかも知れないが)思ってもみなかった、想定外だった、想定していた以上の事が起こった、なんて言われてる天災が 日本で2年に1度、ひょっとしたら1年に1度くらいのペースで有りはしなかったか。 世界にまで広げたら、もっと、頻繁にあるいはしょっちゅう起こっているのかも知れない。
ネット社会になって瞬時にいろんな場所の事を知られるようになったから、そんな気がするだけなのだろうか。それだけではないと思う。 日本から春夏秋冬の四季感が薄くなり亜熱帯化してるんじゃねェか。とはみなが感じている事だ。 俺も暑い夏の昼などパンイチでコンビニへでも行きたいと思うのだが、そこまでオヤジ化してしまってはいけないと 歯ギシリをしながら自らを律して服を着ているのだ。
上高井戸の交差点でゲリラ豪雨のド真ん中にいた事があるが、そこいら中が真っ白で 先頭の1、2台の車のヘッドライトがかろうじて見えているだけだった。 気温と水の循環は俺達が知りうる昔とは明らかに違ってきている。原因は色々と言われてるが、俺達がやって来た事、長い間をかけて続けて来て、 ここ2、3百年で急速に事態を悪化させてしまったと認めるしかない。 逆に言えば今、水ビジネスと言うヤツが注目されているのも事態の悪化を物語っているのかもしれない。 飲み水が欠くなり、石油のように取引されるようになる前にいろんな国の水源を押さえておけと言う事らしいが、ビジネスチャンスと言う事になれば 連中はどんな事でもやるだろう。

世界地図をひっくり返してながめて見た事があるだろうか。
日本列島はまるでユーラシア大陸に弾き飛ばされた破片だ。断層がいくつも走り火山のあるこの小さな破片の上に俺達はいくつもの原発を造った。 それは他国から石油を買い続けるのはしんどい、と言う事と、原発のノウハウはすぐに原爆に変えられると言う二重の意味での利があったのだろう。 そんなバブルの上で俺達は踊っていたのだ。東京へ電力を送っていた福島で事故が起こり、終結どころかまだ何も把握できていないと誰もが思っている中で この夏から又、動かす。
俺達が選んだ政府は俺達が死んで行くことより、大企業が日本から出てく事の方がこわいらしい。
マスコミの中にはこの夏がやってくる1年の間に火力発電にシフトする事ができたハズだと言う人もいたが、火力発電がいかに 地球の天井に穴を空けるか、と声高に言っていたのも当のマスコミじゃん。
今日も暑い。ひょっとして東京からツユってなくなっちゃったんじゃない。


其の五拾六 4/25     

  

人生はつらくキビシイものだと思い知らされる日々を送ってきました。
しかし、しょせん俺は苦労が身にしみない極楽トンボである。
又、この頃を続ける。沈丁花が咲いている。この花を「じんちょうげ」
と呼ぶのだと教えてくれたのは俺から去って行った女だった。
「私はこの花が大好きなの。」と言っていた。
見た目も香りも強烈な花だった。
思えば何人かの女との出会いと別れを体験してきた。
何故みな判で押したように俺から去って行くのだろう。
何人かくらい残ってくれててもバチはあたんないんじゃないの。
しょせん俺はスケアクロウの極楽トンボ、ロリコンではないけどね。
TVに映る女の子達は何故皆そろいもそろって鼻がつまっているのか。
たしかに今は花粉症の季節ではあるが、それにしてもみんながみんな、
あらゆる花粉に反応してしまっているのか、症状があまりに長過ぎたようだ。
忙しすぎて医者へ行く時間が作れないのだろうか。
今はそこいらの薬局でも、とてもいい薬を売っているのだが。
若いのだから体質改善も考えてみてはいかがだろう。
しかしもう何年かすると余裕ができるのだろう。
TV・CMで見る女達は何だかもう自身満々である。
何か秘訣でもあるのなら、それを教えていただきたいと見ていたら、
彼女達のそれを支えていたのは1本のシャンプーであった。
たった1本のシャンプーであの自身、あの幸福感、
勝ち誇ったようなあの笑顔。
もうあとコンディショナーでもあれば頭おかしくなって座りションベンでもしちまう じゃねェかってなハイテンション。
俺は考え込んだ。
そして夜。
シャンプーを買うため、セイジョー薬局へ盗んだバイクで走り出したのであった。

其の五拾五         

  

昨年、「妖怪人間ベム」というTVドラマをやっていた。
おれは俺がマジガキの頃にやっていたアニメのリメイク実写版である。
ちなみに俺が観てた時にはああいうものは「アニメーション」、「TVアニメ」等とは言わず、「テレビ漫画」と呼ばれていた。
何ンの話だと言われそうだが、えー、だいたいがこの頃は俺にまつわるどーでもいい話で、その辺をのたくって行くという事になっているのでどうぞ、ご理解いただきたい。
で、その「テレビ漫画“妖怪人間ベム”」なのであるが、実はその主題歌が俺の音楽の上でのヰタ・セクスアリスなんである。
昨年のドラマで聴いた方も多いであろう。4ビートを刻むドラムとベース、男性コーラス(当時)が7thで静かに入り、その後をトランペットがハデに追っかける。
それまで「みんなのうた」か「オバQ音頭」くらいしか知らなかった俺には耳から入るゾクゾクするような何か“COOL!!”であった。
(まさか昭和40年代のガキくらいがそんな事ア言わない)
“ソノシート”と言って「ああ、あれね」とすぐに理解できる人は今、地球上の全人口の内の何割が生存しているだろうか我が同輩。
それはペラペラのビニールか何かで出来ているレコードの廉価盤、もっと言えば、それらしい事ができるガキのオモチャである。
子供向けの音楽モノといえばたいていコレで流通されていた。
すでに「レッツゴー仮面ライダー」は持っていた俺だが、「妖怪人間ベム」のソノシートを見つけ、お袋に買ってもらうべくデパートについて行き、
アチコチ探し回ってみたのだが望みは叶えられなかった。
そンなモンどこにも売ってなかったのである。
しかし、「妖怪人間ベム」の歌をずーうっと聴いていたいという思いはつのる。
でもその術はない。で、俺が何をやったかというと、ドラムとベースのイントロから歌、トランペットのアウトロまで1人でずーうっと歌っていたのである。
毎日、毎日。朝から晩まで、「早く人間になりたーい」のあの有名なセリフも誰に聴かせる訳でもなくおりまぜ、本当にずーうっと歌っていたのである。
自分自身が聴きたいだけで、誰に聴かせようと思っていた訳では全然ない。しかし、さすがにこんな不気味な子供は周囲も見逃す訳がない。
俺のアダナは「よーかいにんげんベム」だった。
そしてその2、3年後。俺はウチの応接間のステレオの収納スペースから、モダンジャズの名曲中の名曲、「テイク・ファイブ」が収録されているLPレコードを見つけたのだった。

以下次号!…たぶん

           

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